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ブログ 2025.12.22

神の道化師(日本語ver)

クリスマスになると、イエス様の誕生•馬小屋•イエス様のお母様のマリア様、お父様のヨゼフ様などのお話が一杯出てきます。


今日は、フランスの街ではよく見かけた「道化師」のお話です。


フランスですから、書かれた時代でも、今でも、歴史的にも教会/聖堂はあちこちにあったのです。
自分のできる事で一生生きていった道化師の思いを感じて下さい。

 

昔々、といっても中世のフランスのお話です。ある修道院に、ジャングル(大道芸)をするのが得意な、とても貧しい男の人がやってきました。

 

彼の名は“道化師”。みんなを笑わせたり、元気にしたりする芸で生活していた人でした。

 

けれど修道院に入ってから、彼は悩みはじめます。他の修道士たちは、立派な詩を書いたり、美しい歌をうたったり、絵を奉納したりと、みんな自分の才能で“何かを捧げる”ことができました。でも道化師は、字も読めず、歌も作れず、絵も描けません。「自分には、何も捧げられるものがない……」と落ち込んでしまったのです。

 

しかし、ある日ふと気づきます。「ぼくは芸ができる。だったら、それを心をこめて捧げよう。」

 

夜、誰もいない聖堂で、道化師はマリア像の前に立ちました。そして、いま自分にできる最高の芸を、全身全霊で披露しはじめたのです。跳ね、回り、宙に舞うボール。彼の動きは、これまでで一番美しく、一番まっすぐな心で満ちていました。

 

修道士たちはたまたまその様子を見て驚きます。「なにをしているんだ!」と止めようとしたそのとき、不思議なことが起こりました。マリア像の表情が、ふっと優しく微笑んだのです。まるで、道化師の心を受け止めたかのように。

 

道化師はそのまま静かに倒れこみました。彼は、自分の人生で初めて、心から“受け入れられた”と感じながら、穏やかに息を引き取ったのです。

 

このお話は一見、宗教的に見えるかもしれません。

でも大事なのは、“マリア様”の奇跡そのものではありません。
大切なのは、道化師が教えてくれる次のことです。

 

●人は、持っている力で人を喜ばせることができる。
●才能の大きさより、その人の“心のこめ方”が尊い。
●他人と比べる必要はない。自分にできることを精いっぱいやればいい。
●真心は、必ず誰かに届き、自分自身を救う力になる。

 

だから『神の道化師』は、クリスチャンでなくても心に響く物語なのです。道化師は、特別な力を持っていたわけではありません。

けれど、一生懸命に生きる姿、その誠実さこそが、何よりも美しい“贈り物”だったのです。

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